北山トライアングル 誕生まで その2
(その1をまだお読みになってない方はこちらを先にお読みください)
調べても調べてもヒントが得られず、
また、日本を代表する金属造形作家に相談しても
「音響のことは詳しくありません-今後も試行錯誤してチャレンジしてください。」
と言われてしまったら、、、
幸せなことに私はこの言葉を前向きに捉えていました。
「もはや一人で追究するしか道はない」
「この道を歩むのは私だけだ、前には誰もいない。試行錯誤して挑戦し続けよう!」
そう勇気付けられたのでした。
それからは以前にも増して”未知の領域”を切り開く楽しさに興奮しながら突き進みました。
夢中で制作するうちに、最初は「ある程度いい音がしたらいいな」という程度の想いだったものが、
生来の”追求せずにはいられない性質”に火がつき、
「もっといい音を」と、果てしない追求の旅に出ていたのでした。
---
そんなある日、動機となった例のトライアングルに再び触れる機会を得ました。
この一年間の追求の結果を突きつけられる瞬間ですから、期待と不安が渦を巻いていました。
そんな気持ちの中、自分のトライアングルと叩き比べます。
1つは聞き間違えるほどの音!
これには非常に感激したのを覚えています。
周りの人達も「ほとんど一緒だ」と評価してくれました。
しかしそれ以上に驚いたのは、
もう1つのトライアングルが”もっと凄い音”だったことなのです。
煌めくような倍音、いつまでも響くようなサスティーンはもちろん、
遥か彼方の異世界から放たれる波動に包まれるような、、、
頭の片隅にあった動機のイメージがいつの間にか大きく膨らみ、
日々に強力になっていくイメージを追い求め、それと格闘していくうちに、
魔物を現実世界に召喚してしまったというか、
自分自身が指さす方へ突っ走って来たら異世界だったというようなことが起こったのでした。
---
とにかく当初の目標に到達したこと、
また、そこを乗り超えたこと。
充分な結果に心の底から喜びました。
だって、相手は当代一の評価を受ける名器です。
好みの問題は別にしたとしても、充分な結果です。
これをもって、私の追求は一段落ついたわけです。
北山トライアングルはこのような経緯で創り上げられてきたものです。
と、ここまで書いておいて!
そもそも二番煎じの作品を世の中に出すことは恥かしいことです。
いくら「よりすごい音」といったって、そういう意味では自分で納得していませんでした。
製法も材料も音色イメージも自分で練り上げたオリジナルではありますが、見据える地点が他人のものでした。
そんなことでは親父も先祖もきっと落胆して涙にくれることでしょう。
あの先生もこの友達も軽蔑してくるに違いありません。
なにより、だれでもない自分自身が軽蔑しています。
それゆえ、販売することはありませんでした。
しかしある夜を境に、私のトライアングルはある絶対的なオリジナリティを得ることになります。
それがあって、今皆さんの前にお披露目してもよいと思えるようになった次第です。
続きは次回!
(その3へ続く)